愛多き王様の国・5



「……では、暗殺を謀った者達を眞魔国の法で裁くことについては、すでに問題ではなくなっているのですね?」
 主権国家の権利を尊重する、という意識が地球世界に比べて薄いだけでなく、眞魔国のあるあの世界は、現在自然の崩壊が進み、多くの国が法律どころか国家の秩序そのものが失われつつある。そのために、例え異世界であろうと主権国家に対して守られて然るべき原則が守られない可能性もある。
 大賢者が期待する、眞魔国の法律を整備するための最初のハードルだと透は危惧していたのだが、どうやらそこはクリアされたらしい。
 透の質問に有利が「うん、そうなんだ。アシュラムの大公様が、報せを聞いて飛んできてさ」と答え、その時のことを思い出すように視線を宙に向けた。


 アシュラムの民が、魔王陛下の御身を害さんと、剣を抜き襲い掛かった。
 その報は、アシュラムの宮廷を震撼させた。
 眞魔国と友好条約、通商条約を結び、交流が始まって早数年。恩恵を一方的に齎され、その恩恵で大地の崩壊を、回復には至らぬものの何とか食い止め、政に携わる者も、地を耕す民も、ようやく息をつけるようになったばかりの今日この頃。ついに巫女の派遣が叶い、これで我が国も救われると皆で手を取り合って喜んだ、まさにその瞬間に飛び込んできた恐るべき報せだった。
 眞魔国に見捨てられる。
 享受してきたものを、すべて失ってしまう。
 残されるのは、ただ崩壊に向かう大地。
 それどころか……。
 大公、そして宮廷の人々の脳裏に浮かんだのは、「恩知らず共を許すまじ!」と襲い掛かってくる魔族の軍勢だった。
 大地が、山が、緑が、そして民が、焼かれ突かれ斬られて息絶えていく。
 彼らは恐怖に震え上がった。
 ……恐怖に魂を支配され、理性を失った彼らは、自分達が出会った魔王がどのような人物か、魔族の真実がどのようなものであったか、少なからぬ年月の間に学んだその全てを忘れた。そしてただ、「魔族」への恐怖だけが残ったのである。
 魔族に対する根源的な恐怖は、アシュラムの人々から決して失われていなかったということなのだろう。

 とにかく眞魔国に向かおう。
 大公はそう決意した。眞魔国には今、愛する娘とその一行、そしてアシュラムから派遣された数多くの留学生達がいるのである。国の主として、彼らを無事に帰国させなくてはならない。
 そして何としてでも、アシュラムには眞魔国を敵とする考えの全くないことを理解してもらわなくてはならない。
 己の命を懸けることになろうとも。そして、例え我が跡継ぎを人質としようとも。
 大公の悲壮な決意に、宮廷の人々は声を上げて泣いた。
 その大公に、神殿の最高位にある大神官もまた同行を申し出た。聖俗の最高位にある2人が揃ってやってきたとなれば、魔族もその誠意を理解してくれるかもしれない。
 事情を知る宮廷の人々は、わずかな数の供のみを従えて旅立つ大公と大神官、そして公子ユージンを、涙に咽ながら見送った。もしかしたら彼らの姿を目にするのは、これが最後かもしれない。だが、彼らの首尾を祈る以外、もはや人々にできることは何もないのだ。
 人々は、アシュラムの未来を全てを彼らに託したのである。
 そして。


「アシュラムの大公陛下でいらっしゃいますねっ! 眞魔国日報ですっ! ザイーシャが毎夜、『わるいこはいねがー』と叫びながら街を見回るというのは本当ですか!?」
「いたずらをした子供の頬っぺたには、朝になるとザイーシャの足跡が残っているとか!」
「眞魔国子供の科学と学習社ですっ! 人語を操る鳥の脳と喉の構造を、解剖学的見地からぜひご教授お願いします!」
「フォンビーレフェルト卿はーとぶれいく記念芸術協会です! ザイーシャは歌も上手いと聞いております! 得意な歌は何でしょうか! ぜひ当協会主催の独唱会をお願いしたくっ!」
「主婦の友達社の者です! ザイーシャの黄金色はカリカリーごはんの食べすぎだという噂についていかが思われますか!? アシュラムで一番高いお肉はやっぱり鳥肉ですか!? 値引きは可能ですか!?」
「王都日日新聞社ですーっ! すみませんっ、僕も混ぜてくださいー!」
「邪魔だっ、どけっ、チビ!」
「チビじゃないですっ! あのっあのっ大公様! ザイーシャが鳥ではなく、鳥の姿をした精霊だという意見が学者から出ているのですが……!」
「ザイーシャを魔王陛下に献上するためにお出でになられたのですか!?」

「………一体何だったのだ、今のは……」

 眞魔国の地に降り立ったその瞬間に、おそらく魔族の怒号や石礫が我が身を襲うであろう。
 その覚悟を決めて船を降り立ったアシュラム大公と大神官だったのだが。
 彼らに襲い掛かってきたのは、ペンと紙の束を手にした大量の男女だった。
 警護に差し向けられた血盟城の兵士達が必死で押し返そうとするものの、臆することなく突入してくる彼らを掻き分け、やっとの思いで馬車に飛び乗って、ほーっと安堵の息を吐き出して……大公達は呆然と呟いた。

「大丈夫でございましたか、大公陛下、大神官猊下」
 迎えに来てくれたアシュリー伯に、大公、そして大神官も呆然とした顔を向けた。ユージン公子はアシュリー伯と共に迎えに出たランの隣で、窓から無心に外を眺めている。
「取材依頼が殺到しておりますが、こちらが応じぬ故、このような仕儀になったのでございましょう。しかしこれは一国の主に対していかにも無礼。きちんと抗議いたすことと致します」
「…こ、抗議……今このような時に、眞魔国に対して、か……?」
「当然でございます、大公陛下。それはそれとしまして、陛下、大神官猊下、先ずは私の話をお聞き下さい」
 アシュリー伯の言葉に、アシュラム大公と大神官の顔が緊張に引き締まった。

 で。


「ようこそいらっしゃいませ、大公様! ……あーっ、大神官さんにユージン殿下も!? お久し振りですっ!」

 血盟城の中の血盟城、魔王の居城の城門を潜り、馬車を降りたところで、アシュラム一行は魔王陛下直々の出迎えを受けた。
「こ、これは陛下、お久し振りでございます」
 満面の笑顔で駆け寄ってくる愛らしい少年王に、大公と大神官の2人は胸につかえていたものが今度こそ洗い流されたような気がして、揃ってほーっと息をついた。
 ユーリの肩には、当然の様にザイーシャが乗っている。

 大公達は知らなかったが、事件が起きたその日1日、ザイーシャは全く元気がなかった。まるで自国の民が仕出かしたことを分かっているかのように。
 だがそれもその日限り。翌日にはすっかり元気を取り戻し、ユーリの肩から1歩(?)も動こうとせず、人々の賞賛の眼差しにそっくり返り、名前を呼ばれるとさっと片羽を上げて応える、という、それはもう「…おまえ、本当に鳥か?」と誰もが聞きたくなるほど自慢たらたらな姿を周囲に見せつけてきたのである。
 特に、魔王陛下の側近達に。
 近づこうとすると鋭い眼差しで威嚇され、それでもとユーリに触れようとすると嘴や爪で攻撃され、ギュンターやヴォルフラムのザイーシャを見る眼差しは、次第に剣呑なものになりつつある。
 そんな師匠や弟を、いつも笑って窘めるのがウェラー卿コンラートだ。

「良いじゃないか、ザイーシャは陛下の命の恩人だし」
「何を言っている!? ユーリの命を助けたのはお前だ! それをあの鳥、いい気になって……!」
「そうですよっ、あの態度は近頃目に余ります!」
「相手は鳥だぞ? 知能だって人よりずっと低いんだ。少し買いかぶり過ぎじゃないか? とにかく、陛下が可愛がっておられるのだから、少しくらい我慢しろ。それにもうすぐこの国から姿を消すんだから」
「それはそうだが……」
「それにしてもコンラート! 最大の功労者はあなただというのに、人が良すぎますよ!」
「ところでウェラー卿?」
「……猊下、いつからそこに?」
「さっきからずっとだよ。ダメだなあ、君達。一流の武人が僕なんかの気配に気づかないなんて」
「「「お、恐れ入ります……」」」
「ねえ、ウェラー卿、僕、ちょっとした噂を聞き込んだんだけど」
「何でしょう?」
「近頃、保管庫の氷室の中から、不気味な呪いの声が聞こえてくるんだってさ。その声、時々地を這うような笑い声も上げてるんだって。君、知ってる?」
「それは初耳です。氷室の中とはまた……。分かりました、早急に調べてまいります」
「うん、頼むね。ああ、もしその声の主に会ったら伝えておいてくれる?」
「何をでしょうか?」
「やるならやるで下準備と後始末はきっちりするように」
「……畏まりました」
「………一体何の話だ……?」

 閑話休題。

「ユージン殿下も来てくれるなんて嬉しいな! 船旅、どうだった?」
「僕、海を見たの、生まれて初めてなんです! あんまり広くて、頭がくらくらしました!」
「そっかー」
「それに僕、陛下の王都にもビックリしました。話は聞いてましたが、想像してた以上のものすごい大都会です!」
「ありがとう! じゃあ、ゆっくり休んだら、王都を案内しよう! 面白いものや美味しいものがいっぱいあるよ」
「ほんとですか!? ありがとうございますっ!」

 元気に会話を弾ませるユーリとアシュラム公子ユージン、そしてユージンに寄り添うエヴァレットの姿を微笑ましく見つめながら、アシュラム大公はお茶のカップを手にした。
 カップから、温もりが手に沁み込んでくる。それが胸をも熱くするようで、思わずしみじみとした吐息が……。
「ご心痛をお掛けしたようだ」
 深みのある声に、大公はハッと顔を上げた。
 客間の巨大な卓を挟んで、そこには王者の威厳を湛えた美丈夫が自分を見つめている。
「宰相殿」
 条約締結の儀式は第三国で行われたため、大神官はもちろん、大公がこの眞魔国宰相フォンヴォルテール卿グウェンダルと会ったのはこれが初めてだった。
 ユーリの、人の超越した美貌と愛らしさは、ある意味「魔王」の神秘性を強めているが、政治力を感じさせるものではない。だがこの宰相は。
 最初に紹介を受けたとき、大公と大神官は揃って感歎のため息をついたものだ。
 その渋い美貌、鍛え抜かれた堂々たる体躯、深みのある声、そして瞳、何より、全身から醸し出される王者の威風に。
「こちらに伺う途中、馬車の中にて話を聞きました。貴国の暖かいお心遣いに、ひたすら恐縮致しております」
 魔王陛下に斬りかかった男を攻撃したザイーシャが、魔王陛下の「謁見」を求めてきたアシュラム公領の守護鳥であることは公表された。しかし、当の暗殺者がアシュラムの出身者であることは秘され、ただ「魔族の殲滅を計る組織の構成員」というだけで、その人物の詳細な情報は一切公表されていない。よって、眞魔国の誰も、アシュラム人が魔王陛下を襲ったとは知らない。その事実を、大公と大神官はアシュリー伯の言葉で初めて知ったのだった。
 魔族達から排斥され、最悪命の危険を感じているのではないかと危惧していたアシュラム人留学生達も、実際はザイーシャの評判のおかげで鼻高々の毎日を送っているという。
「どれほど友好が進もうと、それを良しとしない者は必ずおりますでしょう」
 慈しみ深い声で、そう言葉を発したのはフォンクライスト卿だった。
 絶世の美女と見紛う美形の王佐に、当初、大公も息を呑んだ。
「魔族と人間の歴史を思えば、それも無理からぬこと。表立って声を上げることはございませんが、おそらくは我が国にも人間にいまだ反発を覚える者もいるのでしょうね。確かに今回の事件はあまりにも衝撃的ではございましたが、だからといって、その者の出身国を暴き立て、友好国を責める様な大人気ない真似はいたしません」
 大人気ない想像に恐慌に陥った大公と大神官は、赤面する思いで頭を垂れた。
「とにかく、せっかくおいでになられたのです。大公陛下におかれては、我が国でゆるりと身体をいとわれるがよろしゅうございましょう。御国には我が国軍の鳩を飛ばして進ぜるつもりでおります。大公陛下御自ら文をしたためて頂ければ、貴国の方々も安心されるでありましょう」
「まことにもって……ご厚情痛み入り申す」
「大神官様」アシュリー伯が隣に座る大神官に話しかけた。「よろしければ、巫女様を派遣頂く打ち合わせにご一緒なされませぬか? せっかくの機会でございます。巫女様や聖職者の方々と、一足先に交流を深めておくのもよろしいかと」
「おお、それは願ってもないこと。……よろしゅうございましょうか?」
 問い掛けられて、グウェンダルは大きく頷いた。
「大神官殿におかれては、我らが陛下とお会いなされて早々に、魔族に対する頑なな偏見を捨てて下されたと聞きました。あなたのお蔭で両国の友好は順調に進んだのだと聞き及んでおります。アシュラムの聖職者の方々には、我らに対してのさらなるご理解を期待しております」
「それは我等の手柄ではございませぬ。ひとえに魔王陛下のお人柄によるもの……。もし魔王陛下との出会いがなくば我々も、此度の悪漢共と同じ轍を踏んでいたであろうと考えまする」
「その者共だが」
 ふいに、強い口調でグウェンダルが言葉を割り込ませた。
 一瞬訪れた空白に、わいわいと話を弾ませていたユーリ達も顔を向ける。
「大公陛下に確認いたしたいのだが」
「………何、で、ござろう…?」
「我らが陛下を害しようとした輩、我が国の法で裁くにあたって何か異存はあられるだろうか?」
「……それは……!」
 できることなら、自分の手で裁きたい。
 国の決定に逆らい、のみならず、生まれ育った国と同胞である民の生命を危うくした。これが眞魔国でなく、例えばかつてのシマロンであったならば、アシュラムは確実に責め滅ぼされているだろう。
 この手で裁き、この手で厳罰を与えたい。いまだ現実を受け入れようとしない者達への見せしめのためにも。我が怒りを鉄槌としてその者達に下したい……。だが。
「もちろんです」
 内心の思いを押し殺し、アシュラム大公は頷いた。
「貴国にて恐るべき罪を犯した輩。どうぞ貴国の法に照らして厳罰をお与え頂きたい。当方に一切異存はござらぬ」


 ユーリの語る物語は、あっちに寄り、こっちに外れながら続いていく。
 聴衆一同は、お箸でお菓子を摘みながら、異世界に起こった事件についてふんふんと耳を傾けていた。
「それで陛下」冷えたお茶を喉に流し込んで、透が尋ねる。「その男達ですが、何か白状したのですか?」
「うん……それも……結構大変だったんだ」


「尋問官から、あの男共を拷問に掛ける許可申請が出されている」
「………拷問は…!」
「陛下、拷問は自白を引き出すための有効な手段でございます。自白を得られないまま、あの者共を罰することはできません」
「自白がなくても科学捜査で証拠を固める、なんてことは出来ないしねえ……」
 ギュンターの言葉に、村田もふうと息をついて肩を竦めた。
「自白が全て。いや、他国であれば、むしろ処刑するのにいちいち自白なんか必要としていない。渋谷、君も分かっていると思うけれど、ここまで手続きを厳しくしてるのはこの世界でも我が国くらいだよ?」
「それは……分かっているんだけど……」
「あの男達が対魔族の組織に属しているなら、その情報は一刻も早く、何としても手に入れなくてはならん。今回の他にも、どのような企みが進んでいるのか知れないのだからな。もし手をこまねいて手遅れになったとしたら」
 無辜の民が傷つき、命を奪われる可能性もあるのだぞ?
 グウェンダルのずしりとした声と言葉に、ユーリはごくんっと喉を鳴らした。それから唇を噛み、ぐっと眉を顰め、そして……。

 バーン、と。
 分厚く重い扉が、いとも軽やかに跳ね開けられた。もちろん、誰かの訪いを告げる兵の声はない。
「何事ですっ!」
 ギュンターが鋭く問い質す。が。

「おーほほほほほほほほほっ!」

「出たな、ようか……じゃないっ、アニシナっ!!」

 開け放された扉から、つんと顎を上げ、腰に手を当てて偉そうに入室してきたのは、もちろんフォンカーベルニコフ卿アニシナだ。

「ったく! 揃いも揃って、この体たらく! これだから男というものは進歩がないのです! 黙秘されれば即拷問! この単純にして短絡な思考! 能がないにも程がありますよ! ……猊下、あなたまでがどうなされました?」
「そこまで言われるからにはアニシナさん、何か良い手があるんですよね?」
「もちろんです! このアニシナに不可能も不可解もありません!」
「お前は存在自体が不可解だ!」
「自分の無能を指摘されたからといって、私に当るのはお止めなさい、グウェンダル。……陛下、誰も傷つかず、苦しむこともない方法で自白を得ることができる、と申しましたら、私に任せて頂けますか?」
「そんなことができるんですか!? あ、だったら、はいっ、お願いします! アニシナさん!」
「陛下!」
「危険だぞ、ユーリ!」
「危険など欠片もありません。陛下」

 これをご覧下さい!

 どこから出したのか、ユーリに向かって伸ばされたアニシナの掌の上には、赤紫から青緑に至るグラデーションもおどろおどろしい液体、らしきものが入ったフラスコがあった。

「名づけて、『お願い途中で止めないで』ちゃん!」

「『ちゃん』なんですか!? 『君』じゃなくて、今回は『ちゃん』!?」
「……陛下、突っ込むのはそこじゃありませんよ、たぶん……」
「何なんだ、アニシナ! そのいかがわしい名前は!」
「いかがわしい? いかがわしいとは何ですか、グウェンダル。この名をいかがわしいと感じるのは、あなたがいかにいかがわしい思考に脳を支配されているかの証明です!」
「……ぐぐ」
「そ、それでアニシナさん……?」
「ああ、失礼しました陛下。この薬、『お願い途中で止めないで』ちゃんは、誰もが自分の内側に隠しているものを全て吐き出さずにはおれないという優れモノなのです! どんな機密情報であろうと、全て喋らずにはおれません。どれほど周りが止めようとも、絶対に止まらないのです!」
「それは素晴らしい! 今回の犯人共にはぴったりです!」
 アニシナの被害者二大巨頭であることをうっかり忘れて、ギュンターが感動の声を上げる。
「つまり、自白剤ってことか」
 そうか、その手があったんだよねと頷く村田に、「あのさ」とユーリが不安そうに呼びかけた。
「前にテレビで観たんだけど、自白剤ってイロイロ問題が……」
「それは僕も分かっているけど、僕等の世界の常識をそのまま持ってくるのは、少なくとも今は止めておこう。じゃないと……後は本当に拷問しかないよ?」
 テロリストの情報を手に入れられるまたとない機会かもしれないし。
 そう言われると言い返すこともできず、またアニシナが「この薬は後に全く害を残しません」と請け負ったこともあって、ユーリは『お願い途中で止めないで』ちゃんの使用を許可した。


「……フォンカーベルニコフ卿の薬…ですかぁ……。……それで、どうなりました?」
 恐る恐る尋ねる透に、有利がほー…とため息をついた。
「それがー……」


「喋っております! 囚人1番も2番も3番も4番も5番も6番も、揃いも揃って喋り捲っております!」
 獄舎担当の兵が、魔王陛下の執務室に飛び込んでくると同時に、大きな声で報告した。
「おお、さすがアニシナです!」
 日頃の被害をすっかり忘れたギュンターが、満面の笑みで声を上ずらせる。
「それで? そやつらの組織はどのようなものなのです? 他の企みは……」
「そっ、それが! ただ今ヤツらは」

 物心ついた頃からの、生い立ちと思い出について、涙ながらに語っております!

「………………」
「………………」
「………………」
「……そんな話は必要ない! すぐに止めて……」
「止めても止まらないのであります! 無理矢理止めようとすると全力で抵抗し、3歳の頃に拾った猫ちゃんを親に捨てられたことがどれほど悲しかったかを、絶叫する様に語り続けるのであります! 真冬だったのにっ、可哀想な子猫たーんっ! と」
「………子猫たん……」
「…グウェン、問題はそこじゃないと…」
「分かっている!」
「ご報告に上がる直前、囚人番号1番は5歳の頃、兄弟に木登りの練習だと無理矢理木に登らされたまま放って置かれた事がどれほど怖かったかについて、2番は7歳の頃、弟が熱を出して寝込んだため、楽しみにしていた誕生日のお祝い会が中止になってしまったことがとっても悲しかったと泣いておりました!」
「あー、それ分かるなー。怒る事もできないし、暴れることもできないし、切ないんだよねー」
「だからそんな事はどうでもいい! すぐさま……」
「無理だよ、フォンヴォルテール卿」
「猊下?」
「アニシナさんが言ってただろ? 内側にあるモノを全て吐き出さずにはおれない、周りが止めようと絶対に止まらないって。あのアニシナさんの発明品だからね、そこのところは徹底してるよ、きっと」
 言い返そうと思ったのか、グウェンダルが素早く口を開いて、それから「ぐう…」と唸ると口を閉じ、ぎりぎりと歯噛みを始めた。
「………だからアニシナなどに……!」
「こうなったら仕方がない。後は現在に行き着くまで、辛抱強く待つしかないよ。待つというか……」
「ヤツらの語りを聞いてやると?」
 コンラートの確認に、村田が「それしかないさ」と頷く。
「せめて聞き役が先へ先へと促してやらないと、きっと同じ場所で堂々巡りしてしまうよ。口に出すこともできない、でも胸につかえたまま忘れることも出来ない思い出っていうのは、泥沼と同じでどっぷり浸っちゃうと前に一歩も進めなくなってしまうからね。だから側に人がいて、聞き役になってやって、理解を示してやって、そして未来に向かって導いてやることが大事なんだ。僕達の求める未来、彼らの背後関係と企みの全てという未来に向かってね」


「……そ、それで、どうなったの……?」
 お菓子を箸で摘んだまま、口に入れることも忘れて繭里が聞いてきた。
 繭里だけではない。香坂教授以下、全員が身を乗り出し、有利の話に夢中になって聞き入っている。
「うん。村田が、聞き役は尋問技術に長けたベテランにやらせなきゃダメだったいうからさ。しっかりした人を選んで話を聞いてもらったんだけど、本当に話が終わらなくて。年齢がバラバラだったから、若い人ほど早く終わって、確か一番若い人で5日、おれに斬りかかった人が一番年上だったんだけど、その人が1週間くらい掛かった、かな。ほとんど不眠不休で喋り続けて」
「ふ、不眠不休!? 1週間も!?」
「そう。ほとんど食べない、寝ない、さすがにトイレには無理矢理担いで連れて行ったけど、個室の中でも語り続けてたって。終わった時には、犯人達も聞き役の兵隊さん達も頬っぺたがげっそりこけて、へろへろになってたって言ってた」
「そりゃ……気の毒に。あ、もちろん兵士達が」
 勝利が慌てて付け加える。有利を殺そうとした奴等が痩せようがボロボロになろうが知ったことじゃない。
「うん。終わった翌日、全員が休暇を申請したから、特別賞与付きで受理したよ。ただ…」
「ただ?」
「暗殺者グループの1人がさ、薬が抜けた後、しみじみ呟いてたって。『身体は疲れているが、こんなにすっきりした気分になれたのは何年ぶりだろう……』って」
「…………………」

『これも立派に拷問だったではないか!』
『それも我が軍の兵が犠牲になった、ですね』
 おのれ、アニシナぁ〜っ! 執務室に響き渡ったグウェンダルの雄叫びは、未だに有利の耳に残っている。

「それで陛下、自白の内容はどうだったのですか?」
「……それがさ、暗殺者グループは全員アシュラムの人だったんだ」
「そう、でしたか……」
「大公様が、その話を聞いた途端、熱を出して寝込んじゃって……」
「お気の毒に。それで? 組織はどのような?」
「やっぱり、アシュラムの反魔族の人たちで、元は神殿の神官とか、魔族は悪魔だって教義を大事にしてる人達が中心になってる組織だった。でも、魔族との交流が深まるにつれて、どんどん人が脱けて弱体化してたんだって。それで他国の反魔族の人たちとネットワークを作って、勢力の回復を図ろうとしてたみたい。それから大々的な活動を展開して、世界的な魔族包囲網? ってのを作ろうって壮大な計画っていうか、野心っていうか……あったらしいよ?」
「野心というより妄想ですね。それがどうしていきなり陛下暗殺を?」
「それが……でっかいことをやってのけて、まあ何ていうか……箔をつけようとした? みたいな? 組織の中では無茶をするなって止められたらしいんだけど、言うこと聞かずに飛び出してきたんだって。自分達は正義を行うんだから、きっと神の御加護があると信じてたんだな。……あ、薬が脱けてからね、何だかその人たちすごく協力的になったんだって。何でも、じっくり話を聞いてもらえたのが嬉しかったとか……」
「容疑者と取調官との間に、ある種のシンパシーが生じるのはままあることですが……。とにかく、背景はほぼ掴めたのですね?」
「うん。結局先走って暴挙に出ただけで、今のところ眞魔国に直接何か、テロを働くとか、そんな具体的な計画はなかったみたい。でも、アシュラムの大公様や大神官さん達に対する敵対行動は計画してたらしいんだ。もちろんアシュラムには報せたけど」
「それらは公表されましたか?」
「シンニチと日日新聞を通じて。あ、でも、あの人達がアシュラムの出身だってことは伝えてないけど」
「そうですか……」
 答えると、透はゆっくりと椅子の背もたれに身体を持たせ掛けた。
「……ったく」
 手でケーキをわし掴むと、ガブリと齧りついて勝利が忌々しげに言い放った。
「ホントに傍迷惑なモンだな、その、誤解だの偏見だのに凝り固まった連中ってのは」
「でもそれって、こっちでも言えることだよね。……異世界だろうが何だろうが、人って変わらないものなんだな」
 しみじみとした駒井の言葉に、まあな、と勝利が応じる。
「何にせよ、解決してよかったじゃないか」
「何言ってるんだい、渋谷君」
「……何だ? 犯人は捕まったし、その背景も全部分かったし……」
 難しい顔の透に、ケーキを手にしたままの勝利が尋ねる。
「何も終わってなどいない。眞魔国にとって一番大切なことはこれからだよ。そうですね? 陛下」
 もぐもぐと口を動かしながら、うん、と頷く有利に、勝利が訝しげに眉を寄せる。
「それは……」
 その時。
 コンコン、と軽く扉を叩く音がした、と、同時に扉が開く。
「おっ邪魔しまーす」
「あれ!? 村田!?」
「これは…。いらっしゃいませ、猊下!」
「お久し振りー、凉宮さん。……君もホントに律儀な人だね」
「恐れ入ります。……学校の方は?」
「思ったより早く終わったんだ。電話しようかとも思ったんだけど、この時間なら、渋谷も間違いなくいるだろうと思ってね。……うわぉ、すごい! 何、このお菓子の山!」
「座って座って、村田君! 実はこれでも結構減ったのよ? はい、お皿、はい、お箸!」
 お箸…? 首を捻りながら、村田が促されるまま有利の正面に腰を下ろす。
「村田、今な、事件のことを透さん達に話してたトコなんだ」
「そう。どこまで話したの?」
「暗殺未遂犯達の背景が、その、フォンカーベルニコフ卿の自白剤で判明したこと。そして、それが新聞各紙を通じて公表されたところまで伺いました」
「そうか。ま、我が国にとってはこれからが問題なんだけどね」
「凉宮もそう言ってる。それは……」
「最初に有利君が言っていた、法律の問題に関ってくるわけだな? 察するところ、その暗殺未遂犯達をどう罰するかってとこか」
 老舗の饅頭を手に香坂教授が言葉を挟む。
「どう罰するって、そりゃもちろん……」
「もちろん?」
「………えーと?」
「猊下、今どのような状況になっているのでしょうか?」
「現在のところはね」
 生クリームとどっさりフルーツを巻き込んだロールケーキを割り箸でそっと摘み上げ、慎重に皿の上に置いてから村田が答えた。
「大多数の極刑に処せ派と、ごくごくごく少数の、極刑に処せるとは限らない派に分かれて、激論……」
 うーん、違うなー。
 村田が言って、軽く小首を傾けた。

「大多数派が、超少数派を言論という名の拳でボコボコにしている真っ最中、ってトコかな」    


 魔王陛下暗殺未遂犯の組織的背景(「魔族に友好的な国家体制に反発し、祖国を出奔して反魔族的な活動を展開する人間達の組織」の構成員とされ、出身国はこの事件に関係なしとして公表されなかった)がはっきりした後は、民の関心は恐るべき事件を起こした人間達がどう処罰されるかに移った。
 恐れ多くも魔王陛下を弑し奉ろうとした極悪人だ。民は皆、ここ数十年、いやそれ以上、見たことも聞いたこともない大悪人達がどのような刑に処されるべきなのかを、侃々諤々、喧々囂々、それは騒がしく喧しく寄ると触ると論じ合っていたのである。
 政治問題から時事問題、果ては芸能ゴシップまで物するシンニチに至っては、とんでもない特集を組み始めた。
 魔王陛下を暗殺しようとした悪逆非道の極悪人どもに、いかなる罰を与えるべきか。
 民が考える最も相応しい罰、さらに言うなら処刑案を、何と一般公募で集め、それを公開したのである。

「……おれ、こういうのは嫌いだ。民が、処刑方法を考えるなんて…!」
 執務机の上に置かれた新聞を睨み付けて、ユーリは唇を噛んだ。
「渋谷、だからといって、君の民が残虐な訳でもなんでもないよ? ムカつくヤツを簀巻きにして、海に放り込んでやれたらスッとするのになんて、僕達だって結構当たり前に妄想することだしね。その程度のレベルの話なんだから。それに地球でも……これはまあ昔のことだけど、処刑を見物することが善良な市民の娯楽だった時代もあるくらいで……」
「おれは、眞魔国の民に処刑を娯楽になんてして欲しくない!」
「だからそうじゃなく……ごめん、僕の言い方が悪かったよ。とにかく今日これを持ってきたのは、この特集でどんな案が集まったかって事じゃないんだ」
「………何なんだよ……?」
「特集が組まれたのは3日前だ。そして今日、ほら、ここ、『陛下を敬愛し、陛下を害しようとしたものに正当な罰を与えたいと願うのは、眞魔国の民であるならばの当然の思いである。しかるに、今ここに1通の投書がある。昨日、わが社に届いたものだが……』って」
「…………ああ、これ……」
 細かい文字を追い、ユーリが頷いた。
「その手紙の内容。ほら、ここからだよ」
「えーと……『罪を犯した者に…どのような罰、を、与えるかは……えっと、法を……』……ごめん、指で読んでもいい?」
「指に頼ってばかりだと、いつまで経っても文字の習得はできないよ? ま、とにかく読みやすい方法でいいから読んで」
「うん……っと……罪を犯した者に、どのような罰を、与えるかは、法による裁きの場、においてなされるものであり、法を知らぬ民が、決定するものでは、ない。この特集は国法を蔑ろに、するものであり、即座に中止すべきである。また、ここで重要なのは、魔王陛下に対し、害をなす者に対しての、罰は、特別に定められていないという事実、である。故に、例え殺害目的が魔王陛下で、あろうとも、その罰は、我が国一般臣民に対する殺害未遂と、同じに扱うのが当然の筋、というものである……」
 村田。目を瞠って、ユーリは親友の目を覗き込んだ。
「これって、お前が言ってたのと同じ……!」
 村田がにっこり笑って頷いた。
「彼らを処刑しろって声が、僕の予想以上に盛り上がってきたからね。かなり気になっていたんだよ。でも、ついに出たね、この声が」
 ただねえ。村田の声がわずかに低くなった。
「何か問題あるのか?」
「ここ、手紙の紹介が終わった後、読んでみなよ」
「えっと……偉大なる魔王陛下と、市井の民に対する犯罪を同等に扱えとの意見に、私、この特集を担当する筆者は驚きの念を禁じえない。かくなる上はこの不敬なる認識の持ち主が、真に眞魔国の民であるのか、それとも陛下を害しようとした組織の一員、もしくは親派であるのかを、明確にしなくてはならないと筆者は考える。現在の段階ではその名を伏せるが、この投書の主がいかなる人物であるのか、これから我々編集員は取材を進めるつもりである。その結果次第によっては、告発も辞さないと………村田」
「世界を問わず、時代を問わず、人間か魔族かの違いを問わず……自分の行いが正義だと信じる者は、時として非常に危険な存在となり得る。この投書をした人物、これから大変なことになるかもしれないな」
「どうしよう。すぐに特集を中止させて、それから……」
「新聞に対して圧力を掛けるのは、なるべくしない方が良いよ。ただ、そうだね、自分の民に残酷な処刑方法を考案などして欲しくない、ましてそれを楽しむなど……と、魔王陛下は目頭を押さえて哀しんでおられたと、さりげなく公表しよう。それでシンニチが動かなかったら、また更に1歩進めることにして」
「おう! 目頭でも獅子頭でも何でも押さえるから!」
「………了解。それからもう1つ。ほら、こっちは王都日日新聞だよ。ここにも同じ様な投書がある。シンニチに投書した人と同一人物だね」
「書いてあることもやっぱり同じなのか?」
「ああ。語り口も全く同じ。巷の盛り上がり具合を、かなり腹立たしく思ってるみたいだね。日日では編集者のコメントはない。見せしめとして処刑すべきだという意見と一緒に、こういう意見もあるという形で並べて公開している。どちらも匿名だけど、たぶんこれは編集部の配慮じゃないかな」
「そっか……」


「大逆罪を含め、魔王陛下に対する犯罪を罰する特別な法が存在せず、外国人による犯罪を規定した法もない。そして、外国人であろうと、眞魔国で犯した罪は眞魔国の法で罰すると決定している。となると、その暗殺未遂犯は眞魔国の一般的な法律に照らして罰せられなくてはなりません。つまり、その投書の人物の主張の通り、相手が魔王陛下であるかどうかは関係なく、眞魔国の一般の民に対する罪と同じに裁かれます」
 ゆっくりと確認する透に、有利と村田が頷いた。
「でもそれって」駒井が首を軽く傾けて口を挟んだ。「こっちの、地球的発想じゃないのかな。地球的解釈って言っても良いけど。異世界なら異世界ならではの考え方があってもおかしくないって思うんだけど」
「あるさ、もちろん」
 透が笑って頷く。
「世界観も文化的社会的価値観も違うしね。ただ、あちらの世界だって、人を傷つけることは良くないことだし、盗みも犯罪だ。確かに戦争は多いが、暴力よりも平和が尊ばれるのも当たり前のことだし、夫婦愛も恋人同士の愛も、親子愛も同じだ。……もしこれが生物学的に、進化の系譜も系統も違う生物というなら別だけど、あちらの世界の魔族や人間達も、こちらの人間達も、違うのは住む世界と時代感覚、文化のズレであって、ほとんど同じ人間、同じ生物だよ。『人』として、根本的な価値観、考え方は同じだと僕は思う。君も言ったじゃないか、異世界だろうが、人は変わらないって。法律というのは、そういう『人』の根本に関るものだからね。こちらの解釈とあちらの解釈が大きくずれるということはないと思う」
「僕もそう思う」
 村田がケーキを乗せた皿を手に言った。
「違いがあるとすれば、考え方や法が成熟しているかいないか、少なくとも眞魔国とこちらの違いはそれだけだと思うね」
「村田君は、眞魔国の法律を成熟させたいと思ってるわけね?」
 繭里に言われて、「そういうことです」と頷き、ケーキを口に入れた。
「そこでね、凉宮さん」
 ケーキを飲み下し、お茶を一口喉に流すと、村田は透に向けて言った。
「君にちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだけどな」
「僕に? あちらで、ですね、もちろん」
「そう。構わないかな?」
 わずかに目を伏せ、それから透は顔を有利に向けた。
「陛下」
「なに? 透さん」
「この件につきまして、猊下のお考えは分かっているつもりでおります。ですが、陛下がどのようのお考えであられるのか、まだはっきり伺っていないように思います。御無礼とは存じますが、陛下、陛下はご自分を殺害しようとしたその男共をどのように罰したいとお考えでいらっしゃいますか?」
 ぱちくりと目を瞬かせていた有利は、慌てて口の中に残っていたものを飲み込むと、しゃきっと背筋を伸ばした。
「おれは、あの人達を特に処刑したいとは思ってない。あの人達は皆、魔族を悪魔だと思って、人間世界を救わなきゃって使命感に、何ていうのかな、燃えてやってきたんだよね? もしも自分達の誤解だって分かったら、後悔して、考え直してくれるかもしれないし……。もちろん……人を殺そうとしたら罰を受けなくちゃならないだろうけど、でも、少なくともおれは、その相手がおれだったからという理由で、法律にもない罰を与えたいとは思わない。法律があるんだから、ちゃんとその法律に従って、一番相応しい罰であれば良いと思う。それからー…後は村田と一緒かな。これがきっかけになって、眞魔国の法律が少しでも充実したものになればいいかなって考えてるよ」
 ゆっくり、考え考えそういう有利の隣では、勝利が腕を組んでうんうんと頷いている。兄バカである。
「分かりました」
 こっくりと、透が頷いた。

「陛下と猊下のお志の一助になりますよう、全力を尽くさせて頂きます」

→NEXT

プラウザよりお戻り下さい。




ちょっとなまはげ付いてる胡城です(笑)。
実はこの話数に到るまで、かなり悩んでおりました。
いつもは、先ず最初にラストシーンの映像が頭に浮かんで、同時に断片的なエピソードが幾つも頭に浮かんで、それが一気に繋がるような感覚が襲ってきて、そして「よし!」と書き始める訳なのです。
が。
今回は法律という、全く分からない専門世界であるため、そちらに意識がすっかり奪われてしまいました。
ですがここに到ってようやく、ラストまで一気に映像が走ってくれました。……お風呂に浸かっている数十分の間に(笑)。
ある意味、開き直りの境地に入ったというところでして、結果としましては、いつもの私のパターンに雪崩れ込んでいこうと思います。
まだどうなるか不明な部分もありますが、とにかく突っ走る覚悟ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます!
あ、そうそう。
専門用語の使い方、解釈など、間違っている部分も多々あるかと思います。これから出てくる可能性もどっさり。
ど素人がど素人のまま書いているものですので、どうかお許し下さいませ。
もし「…これは幾らなんでも」と思われる箇所がございましたら、こそっと教えて下さいませ。こそっと直させて頂きます。
これって、最初に書いておくべき事柄でしたよね(汗)。申し訳ありません、どうかよろしくお願い申し上げます。

ご感想、お待ち申しております!