心の歌を聴いて・7 |
「あ、ありがとうございますっ!」 思わず立ち上がって、ユーリは二人に向かって頭を下げた。 「ありがとうございます。本当に……」 コンラートもまた、ユーリの隣に並んで、一緒に頭を下げた。 「…へっ、陛下、閣下! そのような……もったいない……!」 二人から揃って頭を下げられて、逆にガジェット夫人達の方が恐縮してしまったようだ。 一瞬、ぽかんと二人の顔を見つめると、飛び上がるように身体を起こして慌てふためいている。よもや魔王陛下と、その夫となる人物から、これほど丁寧な反応を得られるとは思ってもいなかったのだろう。 「気にしなくていいですよ、お二人とも。まあ、これが僕らの魔王陛下だってことで」 「全く……いつまで経っても威厳のないへなちょこなんだからな、ユーリは」 村田がフォローすれば、ヴォルフラムもまたいつもの言葉を繰り返す。 彼らが浮かべる苦笑は、どちらも苦々しさよりも親密な明るさの方が勝っていて、その笑顔を認めたガジェット夫人とエリン女史が、ようやく安堵したように息をついた。 その時。 「お待たせ致しました! どうぞお部屋にお戻り下さいませっ!」 マルゴが息せき切って走ってきた。 「うっわーっ、すげーっ」 「ほう、これは見事だ」 「へえ、まるでアリサさんのために作られたって感じだね。ぴったりだ」 「さすがですね、サリィ様」 「似合ってるわよ、アリサ!」 「本当に素敵だわ!」 口々に褒めそやされて、アリサは頬を染め、はにかむような笑みを浮かべた。 「まだ仮止めで、本格的に仕上げるのはこれからですが、ミーナさんとマルゴさんが手伝って下さったので思ったよりも早くできましたわ」 サリィも出来栄の良さに、満足げに微笑んでいる。 純白のギリシャ神話風ドレス(ユーリ命名)は、豊かなドレープでアリサの華奢な身体を包んでいた。 片方の肩を露にして、もう片方の肩からゆったりとしたラインで上半身を包むドレスは、ハイウエストできゅっと締ると、腰から巻き付くようなドレープが流れ、そこから床に優雅に広がっていく。 確かに自分が着るとなると、かなり目に哀しいモノがある。と、ユーリは思った。 でも、愛らしいアリサが着ると、本当に神話の女神か妖精のように見える。 サリィ様が1着だけ地味(?)なデザインのドレスを作ってくれて、ホントによかったと、ユーリはしみじみ胸を撫で下ろした。 「ですが……」サリィがかすかに眉を潜めた。「やっぱりちょっと地味じゃございませんかしら? もうちょっとお色が欲しいと……」 「ならば」 サリィの言葉に応えたのはヴォルフラムだった。 すたすたと部屋の片隅の大きな花瓶に歩み寄ると、そこから薄紅色の薔薇を一輪抜き出した。 そしてそれを持ってアリサの元に戻り、その胸元にそっと翳した。 「………このドレスとアリサに合う花飾りを僕が贈ろう。可憐な品のいいものを選んでやる」 アリサが、思いもかけない申し出に、ぽかんとヴォルフラムの顔を見つめている。 「……ヴォルフ…?」 「今回は……」 照れているのか、ちょっとだけ頬を赤くして、ヴォルフラムはコホンと小さく咳払いをした。 「僕の、その、不用意な発言から端を発したようだからな。……それくらいのことはさせてもらおう」 へえ、とにんまり、どこかわざとらしい笑いを顔いっぱいに浮かべながら、ユーリはヴォルフラムに近づき、顔を覗き込んだ。 「やるじゃん、ヴォルフ。おっとこまえー」 ふふん、とヴォルフラムが鼻で笑う。 「今頃気づいても遅いぞ」 「これで事件は完全に解決だな!」 晴れ晴れと宣言するユーリに、居合わせた皆も明るく笑った。 「そうだね」村田も満足そうに頷く。「これでもう何も問題はなくなったし、僕たちも皆、後は本番を待つばかりだね!」 「……猊下?」 本番を待つばかりなのはアリサやミーナ達であって、自分達にはまだまだやることが山積みだ。なのに、まるで全ての仕事が終わったかのような大賢者の言葉に、コンラートはふと首を傾げた。 だが、ユーリはその言葉を、なぜか素直に受け取ってしまったらしい。 そっかー、よかったなぁー、と妙に間延びした、だが嬉しそうな声を上げる。 そんなユーリの目の焦点が、どこかぼんやりと仕出したのに気づいて、コンラートは慌てて彼の元に駆け寄った。 「……こんらっどー」 コンラートが自分の側に来てくれるのが嬉しいのか、ユーリはますます焦点の合わなくなった目で、満面の笑みを浮かべると、人前であることも忘れたようにコンラートにしがみついた。 「…ユ、ユーリ…?」 「こんらっどー、おれ、嬉しいんだー。ここでミーナさんにもアリサにも会えたしさー、それに新しい知り合いも増えたしさー、あの子達も、可哀想だったけど、ちゃんと分かってくれたし……。でもって、竪琴も無事で、ドレスもちゃんとできてー………全面解決、したんだよなー……」 「ええ、ユーリ、そうですね。よかったです」 囁かれて、幼な子の様に、うん、と頷く。 「………よかったー。これでもう、なにも……。……こんらっど……?」 「はい? ここにいますよ。ユーリ、大丈夫ですか?」 体重を預けてくるユーリの身体を抱き締め直して、コンラートはユーリに囁いた。 「…ん、だいじょーぶ。……なんか、おれ、あんしんしたら………きがぬけ………」 コンラートの腕の中で、ユーリの身体ががくりと崩れた。 「ユーリ!? ユ……」 床に膝をつき、ずるずると滑り落ちて行くユーリを抱え直すコンラート。 「…おいっ、大丈夫か!? ユーリっ!?」 「陛下!? 如何なされました!?」 「魔王様? 魔王様、しっかりなすって下さいまし!」 「大丈夫。何でもないよ」 何が起こったのか分からないまま、慌てて駆け寄る人々の中で、ただ1人、村田だけが落ち着いて笑っている。 「だろ? ウェラー卿?」 「…………はい……眠ってます」 大賢者の問いかけに、一つ小さなため息を零して、コンラートは顔を上げた。 「眠ってる? ユーリは眠ってるだけなのか?」 ヴォルフラムが、横から顔を覗き込んでユーリの寝顔を確認する。 「……確かに……。情けない程ほにゃらな顔で寝ているな」 「いやあ、実にうまくいったなあ」 コンラート達の頭の上で、まさしく会心の出来とでも言いたげな大賢者の声が響く。 「………猊下……?」 何となく低くなるコンラートの声。 「僕は渋谷の身体を心配してるんだよ、ウェラー卿。彼が眠れずにいるのは、もちろん仕事の量もあるけれど、何より緊張が全く解れないことに問題があると思ってね。同じレベルの緊張がずっと続くから、眠っていても熟睡できない。だったら、思いきり気が抜けるようなことがあればいいと思ったんだ」 そう言って村田は、きょとんとしているアリサに目を向けた。 「アリサさんには悪いけど、今回のアクシデントはまさしく渡りに船だったね! これがすっきり解決してうまく誘導すれば、渋谷の緊張はきれいに消え去ってくれるはずだと判断したんだ。狙い通りだったよ」 「……猊下、少々質問したいのですが……」 コンラートが床の上でユーリを抱えたまま、視線も向けずに声を発した。 「何だい? ウェラー卿」 「もしも…事件が思い通りに解決しなかった場合は、どうなさるおつもりだったのですか?」 僕もそれを聞きたいと、ヴォルフラムが立ち上がって賢者を睨みつける。 だが、村田は泰然自若と余裕のある態度を崩さなかった。 「僕がそうすると決めたんだよ。うまくいかない訳がないだろう?」 ヴォルフラムとコンラートの視線が交差した次の瞬間、兄弟は揃って何かを押え込むように目を閉じ、深くため息をついた。 「……恐れ入りました、猊下」 「でもねえ、ウェラー卿」 コンラートとヴォルフラムの様子を、楽しそうに見遣る村田が、ほんの少し口調を変えた。 「……本当は、あの子供達には僕が話をするつもりだったんだ。罰を与えて渋谷の心に痼りを残したりしないように、僕が全部仕切るつもりだった。……でも、あっさりと渋谷に出番を奪われちゃったね」 村田がユーリの寝顔を覗き込むように上体を屈めて、静かに言葉を続けた。 「王として、彼も日々成長してるんだよね。分かってはいたんだけどな。……僕も君も、なるたけそれを見ないように、いつまでもこの手で彼を護る者でありたいと、心密かに願ってるよね。だから……嬉しいけれど、ちょっとだけ寂しい気もしたりしないかい?」 「……猊下」 今度は思いきり苦笑して、コンラートは賢者を見上げた。 軽く笑みを交わして、村田はスッと背筋を伸ばした。 「さ、陛下を部屋に運んで、今度こそとことん眠らせよう。君もだよ、ウェラー卿。……後の事は、フォンヴォルテール卿とフォンクライスト卿にがんばってもらおう!」 確か、自分が出ていって手伝うとか言ってなかったか? それに、グウェンダルもギュンターも、ユーリ以上の仕事量をこなして、もうすでに限界に達しようとしている……なんてことは、もちろん分かっているんだろう。 コンラートはそっと何度目かのため息をついて、ユーリを抱き上げ、立ち上がった。 眞魔国最高位の聖職者にして、偉大なる大賢者猊下にとって、大切なのはユーリ陛下ただ1人、らしい。 「………ま、それは俺も同じだからいいか……」 そっと聞こえないように呟くと、コンラートはユーリを抱いたまま、ガジェット夫人達に身体を向けた。 「陛下はお疲れが高じて眠っておられるだけなので、心配はいらないですよ。……本番を楽しみにしています。頑張って下さいね。それから、ベイルオルドーンのお二人にも、心から協力を感謝します」 おろおろと、不安げにユーリを見つめていた女性音楽家達、そしてアレクディールとマルゴが、コンラート達の視線を受けて、ハッと背筋を伸ばした。そして、彼らの確かな笑顔をしっかりと確認すると、表情を改め、深く腰を折って礼を返した。 第27代魔王ユーリ陛下と、前魔王ツェツィーリエ上王陛下の次男である、ウェラー卿コンラート閣下の婚約披露宴。 ついに、その日がやってきた。 朝早くから城下は人で溢れている。 本番の結婚式はまだ遠く、今回の行事は婚約披露に過ぎないということも忘れられたかのように、王都は祝賀ムードに湧き立っていた。 色とりどりの垂れ幕や、家々を飾る花々が朝陽に輝き、紙吹雪が宙を舞う。市場には様々な慶祝の品が並べられ、すでに多くの客を迎え入れていた。 街の辻々には、血盟城から下賜された酒樽や大量の菓子や果汁が、祝いに王都を訪れるあらゆる人々を持て成すために準備万端整えられている。 おそらく陽も高い内から、数え切れない程の酔っ払いが肩を組み、祝いの歌をがなりたてることだろう。 王都は隅々まで朗らかな笑みで溢れていた。 そして血盟城。 宴の初日を飾る、『眞魔国の芸術に浸る1日・投票券付き』 既に数日に渡って多数の国々と外交交渉を重ねてきた各国の代表団にとっては、格好の息抜きとなるはずだ。夜には第1回目の盛大な夜会も開催されることになっている。 血盟城内最大の大広間、大舞踏会場に向かうホールには、その出演者達が装いも艶やかに打ち揃っていた。 ミーナは、胸に手を当てて、大きく息を吸い、吐いた。 一瞬緩やかになったような気がした胸の鼓動は、実は少しも治まっておらず、とくとくと早いリズムで胸を叩いている。 今、大広間では、魔王陛下とウェラー卿が、ぞくぞくとやってくる各国の代表団から改めて挨拶を受けているはずだ。 本日の宴に出席する全ての人々─魔族も人間も─が集まり、全ての挨拶が終了したところで、宴の開催が宣言されることだろう。そしてそれから、おそらくはフォンビーレフェルト卿の口から、最初の出し物についての説明がされる。 投票券は、事前に配られているのだろうか、それともその場で配るのだろうか。 どうでもいいことが、妙に気になる。 気になるといえば。 髪は、乱れていないだろうか? それに、ドレス。 今日のために作ったのは、白いレースに縁取られた、若草色のドレスだ。袖にもスカートのスリット部分にも、フリル状になったレースがたっぷりと使われている。 演目が自然を賛美する歌だったから、爽やかな感じがすると思って決めた色とデザインだったのだけど。 父も、とても素晴しいと手放しで褒めてくれたのだけど。 …………少し、子供っぽ過ぎはしないだろうか。 ドレスと同じ色のリボンで結い上げた髪も、どこか……。 磨き上げられた大きな窓ガラスに己を映して、懸命に目を凝らすミーナの後ろに誰かが立った。 ハッと振り返った先に、アリサがいた。 「……ア、アリ、サ」 にっこりと笑みを浮かべるアリサが、ふいに手を伸ばしてミーナの手をとった。 今日はこれから、まずは大広間で観客達に紹介されることになっているので、アリサは板を持っていない。 アリサはミーナの横に並ぶように場所を変えると、手にしたままのミーナの片手の平に指で文字を書き始めた。 『とってもきれいよ』 「あ、ありがとう。……で、でも、ア、アリサの、ほ、ほう、が……ずっと、き、きれい、よ……」 ミーナの言葉に、アリサは首を振りながらも、頬をほんのり染めて嬉しそうに笑った。 アリサは本当に美しかった。 純白のドレスは仕立て上がると、一見シンプルな分、ごてごてと飾り立てた衣装より遥かに優雅で、床に裾が流れる様子も、ため息が出る程上品だった。 アリサは髪を結わなかった。 銀色の糸のような髪を真直ぐに下ろしている。触れれば軽やかな音さえしそうな髪と、銀色の竪琴を抱いた姿は、きっと神秘的なものに皆の目に映るだろう。 アクセントは、肩から胸元にかけて飾られた、つる薔薇の花飾り。 今朝早く、フォンビーレフェルト卿から贈られたそれは、目を瞠るほど上等な品で、細い金の蔓に薄紅色の小さな薔薇の花が散らされた、見事な出来栄の逸品だった。 『お前はこれから様々な舞台で活躍するのだからな。良い品を身につけるように心掛けろ』 ガジェット夫人に飾りをつけてもらったアリサの姿に、フォンビーレフェルト卿も満足げに頷いていた。 鏡で自分の姿を確認して、アリサは顔を真っ赤に火照らせ、何度もフォンビーレフェルト卿に頭を下げた。 完璧な装いのアリサは、ミーナより年下なのになぜかずっと大人びて見えて……ミーナは羨ましさに、ちょっとだけ焼きもちを焼いてしまった。 『陛下と閣下のおかげ』 アリサがミーナの掌に、再び文字を認める。 何も痕跡の残らない掌をじっと見つめて、ミーナはやがて、うん、と頷いた。 「ほ、ほん、とう、ね。わ、わ、私、たち……とっても、こ、幸運、よ、ね……?」 アリサも、うん! と大きく勢いよく頷いた。 私ったら、ホントにバカね。内心苦笑しながら、ごめんね、と、ミーナは心密かにアリサに詫びた。 人って本当に贅沢だ。 国を代表する芸術家として、おめでたい宴に選ばれた。 魔王陛下に忘れられるどころか、「友達」とさえ呼んで頂いた。楽しい一時を過すことができた。 それだけでも、運命にひたすら感謝していいはずなのに。 心はもっともっとと求めてしまう。 何を焼きもちなんて焼く必要があるだろう。 私は私。私は私のまま、ありのままの姿で、精一杯歌えばそれでいいんだ。 「が、がんばろう、ね……?」 触れあったままの手をぎゅっと握って、ミーナはアリサに笑いかけた。 うん! アリサが、さらに大きく頷く。 「二人とも、とっても可愛いわよ」 ハッと見ると、ガジェット夫人とエリン女史が、にこやかに側に立っている。 「緊張してる?」 エリン女史の問い掛けに、はい、とミーナが頷き、アリサも胸を押えてうんうんと頷いた。 「大丈夫よ、すぐに慣れるわ。その内、緊張がたまらなく気持よくなってくるのよ。そうなったら、あなた達も一人前ね」 そんなものかと感心するミーナとアリサに、二人の大先輩が思いきり吹き出した。 「時間です!」 係の役人が、ホールで声を上げた。 「二列にお並び下さい! これから大広間に向かいます!」 ホールから大広間へ向かう回廊を、彼らはゆっくりと進んで行った。 緊張を解すように、隣に並ぶ人物と会話を交わす出演者もいる。 「……館を出ようとしましたら、何と顔見知りの子供達がおりましてね。どうやら、手伝いに城に上がっていたようなのですが。その子達が、おじちゃん、がんばってね、と声を掛けてくれたんですよ。幸先がいいといいますか、何とも嬉しくて……」 ミーナ達の前で、にこやかに男性が話し、隣の人物が「それはよかったですね」と応えている。 ふいに、肩に優しく置かれる手の感触を感じて、ミーナとアリサは歩きながら振り返った。 ガジェット夫人とエリン女史が、楽しそうに笑っている。 ミーナとアリサも、揃って笑顔を返した。 ミーナはふと、回廊に立ち、彼らを見送る多くの人々の中に、知り合いがいることに気がついて顔を向けた。 グラディアが、サディンが、キャスが、そして…ミゲルがいる。 ミーナが気づいたことに気づいて、全員が一斉ににこやかに手を振ってきた。 ミゲルだけが興味なさそうにそっぽを向いていたが、ミーナの視線を感じたのか、むすっとした顔のままで、ひらひらと手を振った。そして、その顔のまま、がんばれ、と口を動かす。 無音の声をはっきりと聞き取って、ミーナはミゲルに向けて笑顔を浮かべ、手を振って応えた。 ミゲルがパッと顔を赤らめ、またもふいっとそっぽを向く。 グラディアに背中をどやされてよろめくミゲルの姿に、ミーナは思わず吹き出していた。 アリサもまた、力強い応援を得ていた。 回廊に、アレクディールとマルゴが立っている。 アリサの姿をみとめると、二人は大きく、特にマルゴはぶんぶんと手を振って、「お綺麗ですよー! がんばって下さいませねーっ」と、これははっきりと声に出して、アリサに満面の笑みを送ってきた。 はい、と頷いて、アリサも手を振り返す。 精一杯歌おう。奏でよう。 この日を。この出会いを。この歓びを与えてくれた、あなたのために。 心からの感謝を込めて。 そしてあなたの永遠の幸を祈って。 私達の、そして、あなたとあなたの愛する人を思う、全ての人々の想いを乗せて。 歌おう。奏でよう。 私の胸の内から、心から、魂の奥底から溢れ出るこの歌を。 ありったけの、夢と希望と祈りを込めて。 ミーナとアリサは、いつの間にかしっかりと互いの手を握りあっていた。 顔を見合わせ、笑みを交わし、それからまっすぐに前を見据える。 大広間の扉に、衛士が手をかける。 彼らの前で、ゆっくりと大扉が開かれていく。 宴が始まる。 終わり(2006.07.09) プラウザよりお戻り下さい。
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